一方通行の恋
「では班別に発表したいテーマを決めてください」
5月に入ってゼミ長選出とか飲み会の幹事も決まって、やっと授業らしきものが始まった。
うちのゼミってば週に1回しかないんだ。
あたしたちは経営学部だから企業の経営戦略について書かれた教科書を使って授業が進められる。
これでも一応勉強はちゃんとしてる
つもり。単位は取れてないけど。
学校ほとんど行ってないけど。
「どれにする~?」
あたしたちは教科書から発表したい企業(別名、簡単そうな内容の企業)を選んでいた。
「めんどくせ~な。俺なんでもいいわ」
くそっ。忠伸め、テキトーなんだから。
けどなぜか憎めないのが忠伸のいいとこ。
「う~ん、どうしよっか?何かいい案ある?」
かっちゃんに尋ねながら隣で眠りの世界に入ろうとしている忠伸の太ももをつねる。
「ん~。パッと見るだけじゃなかなか分かんないよな」
って、
パラパラとしか教科書見てなかったらそりゃわかんないっての!
浪野克哉使えね~!
てか忠伸もかっちゃんも使えん!!
ダメだよこの班!!!
「麻依~、決まんない~」
あたしは隣の班の麻依に助けを求めた。