─Quality of love─


俺は川の中で怯えた瞳をする莉香にむかって、ゆっくり手を差し伸べた。

莉香は大きな目を見開き酷く驚いた顔をして、動揺しながら一歩後ろへ下がる。



「来いよ。俺がいる限りお前は消えたりしないから」



莉香の見開かれた瞳はさらに大きくなった。
そして震える手を躊躇いながら俺の方にむける。


俺はゆっくり近づいてくる莉香の手を力強く掴んで川辺へと引き上げた。

「うわぁ、ずぶ濡れだなぁ」


そう言って濡れた髪を撫でてやると、莉香はかたく結んだ下唇をゆっくりほどき俺にしがみついて声をあげて泣いた。

莉香のブラウスとスカートから滴る雫から、俺たちの足下には小さな水たまりができた。


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