─Quality of love─
10,She's solitude
「ちゃんと髪と体、タオルで拭けよ」
莉香の家のドア前まで送ってやった。
俺の忠告に莉香は小さく頷いた。
「じゃあ俺、帰るから」
そう言って俺は莉香に背をむけて、歩き始める。
数歩歩いたところで、莉香が静かに扉を閉めた音がした。
莉香をひとりあの家に残して、莉香の母親がいる場所に俺だけが帰るのはどことなく心苦しいものがあった。