─Quality of love─
大学について、窓際の席で講義室に響く教授の話をぼんやり聞く。
教授のしわがれた声は、いちよう音として耳に届くのだけれど脳内で言葉というものに変換されずに意味をもたないメロディーになって俺の周りを空中浮遊する。
「なぁ潤、昨日お持ち帰りした綾ちゃんとはどうなったんだよ?」
隣に座る友人のタカがこそっと俺に耳打ちした。
それを聞いてた周りの友人もこぞって興味津々といった顔で俺をみてくる。
綾チャン?
聞き覚えのない単語に一瞬顔をしかめたが、数秒後にその子が昨晩一夜をともにした女の子だということに気付く。
「あぁ!あの子か!まぁ適当にバイバイみたいな?」
「ギャー!お前は正真正銘の女の敵だよ!」
「はぁ?味方だっつーの!」
隣に座るタカの頭を笑いながら軽く殴る。
「なんでこんなヤツに女は騙されてしまうんだろうなぁ」
「そもそも潤は女を喰いすぎ!」
「てゆうかなんで俺らはモテないわけ?」
そこから話がモテる男になるための作戦会議にかわっていって、俺の意識は話題からはずれていった。