─Quality of love─
雨の公園は、誰もいなかった。
子供の声が聞こえない公園は、その存在が霞む。
少女はしゃがみこんで、黙々と濡れた地面を掘り出した。
俺もその姿を真似て雨で柔らかくなった地面を素手で掘る。
会話は一切なく
ただ、穴を掘り続けた。
この黒猫が安らかに眠れるくらいの穴を。
無言の空気に、雨の音と土の匂いと少女の息遣いが混じりあう。
俺は黙ってこの不思議な光景を感じていた。