─Quality of love─
雨がぽつぽつ、と傘を打つ。
そんな鈍い音が耳の奥に広がる。
「……君、よく俺の周りに現れてるよな?」
少女のビー玉のような瞳がどこか不思議そうに俺の顔をみた。
まだあどけない顔に宿る妖艶と純真無垢。
「あっ…いや…べつに勘違いだったらいいんだけどさ……」
とっさにこんな言葉を発してしまった。
少女の、強すぎる瞳のせいだ。
「………」
表情のない顔からは何も読めない。
しばらくの無言状態。
「……君、名前は?」
「……莉香」
小鳥が囁くような声だった。