─Quality of love─
皿とフォークがぶつかる音と、周りの談笑が響いている。
俺は無理に会話を繋ぐのをやめて、目鼻立ちのはっきりした莉香の顔を頬杖をつきながらぼんやりみていた。
莉香は俺の視線に躊躇することなく無心にスパゲッティーを口にする。
俺は、何も頼まなかった。
まだ、さっきの黒猫の匂いとか映像が脳にこびりついていて胃のあたりに不快感を感じている。
コップ一杯の水を口にすることさえできない。
貧弱な神経だと思うかもしれないが、誰だってあの血生臭さをいざ目の前にするとそうなってしまうんじゃないかと思う。
例外が俺の前に存在するけど。