─Quality of love─
7,existence
「……じゃあ、そろそろ帰るから」
俺はそう言って伝票を手に取り席をたった。
その瞬間、莉香が口を開いた。
「……今から、帰るの?それは邪魔しちゃうんじゃない?」
その後に続いた言葉は“別にどうでもいいけど”
俺は立ち上がったまましばらく考えた。
それもそうだ。
今は真夜中。時間も時間だし……
居合わせたことがないわけではないが、居合わせて気分のいいものではない。
できるなら避けたい。
しかも相手が莉香の母親なのだと思うと余計にその気持ちは募る。
俺はため息をついて席に座りなおした。