FLASH BACK
そうだね、
と気のない返事をすると、
彼もまた
「そうだろ」
と軽い言葉を返した。

「さみしいね」
「俺ら。卒業しねぇじゃん」
「でも、淋しいよ」

スカートを握る手に力が入る。
白くなった手で紺色を握りしめた。

学校近くの公園。
満開の桜の木。
約束の人たちは、まだ来ない。

「あんた、明美さんに言わなくていいの?」
「何を?」
「あんたのことを」

彼は声に出さずに笑った。
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