FLASH BACK
「別に、いいよ」

彼は尻を払いながら立ちあがった。
黒い学ランが白く汚れている。

あたしも視線を空から戻した。
騒がしさが遠くに聞こえる。

「じゃあ何。
 本気じゃなかったってこと?」
「ううん、
 ちゃんと好きだったよ。
 でもいいんだ」

訳が分からない。
あたしは唇を尖らせた。

いいんだ。
彼は再び声に出した。
でももういいんだ。

笑みを含んだそれは、
自分に言い聞かせているみたいだった。
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