FLASH BACK
「何もしないで諦めるの、
 あんたらしくないよ」

そう言うと、彼は
あたしを見て笑った。
いいんだ、とまだ声に出して。

「でもアレは欲しいな。
 明美さんから、花」

今度はあたしが声を出さずに笑う番だった。

「あぁ、
 卒業式でもらった花を仲の良い後輩にあげる、
 っていう良く分かんない慣習」

もらえるといいね。
他人事の反応に、彼は困ったような顔をした。

だって、事実他人事だし。
大体、あんたに花なんて似合わないよ。

「でも、先輩。
 部活の後輩にあげちゃうかもしれないよ」
「そうなんだよ。
 ネックはそこなんだよね」

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