Alice Doll
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終礼を告げるチャイムが鳴った。
いつもはチャイムが鳴って、最低でも十分は延長する先生が、今日に限ってチャイムと同時に終わった。
なぜだろう、他の先生に比べて終わったときの嬉しさが大きいのは……。
ガタガタと席を立つ生徒たち。これから教室に戻ってHRがあるのだ。
しかし生徒たちは、これから起こることに少しがっくりすることとなる。
「やったな! 珍しく定刻通りの終了だ……ってあんま嬉しそうにないな。どした?」
「いやー、早く終わったのは嬉しいんだけどさ……。先生いっつも遅いのが定番じゃん?」
うんうん、と友人の男は相槌を打つ。
「だからさぁ、佐藤もいつも通り来るんじゃないかって……」
佐藤とは彼らの担任の名前である。四十を過ぎて未だに結婚はしていないらしい。
だが、目撃情報から彼女はいるらしい。それをネタに、生徒たちから良いようにからかわれることも少なくない。