Alice Doll
いや、それ以前に似合わない。とてもじゃないが不格好だ。
由衣は歩く度フラフラしてよろける自分の姿を想像して、思わず苦笑した。
それをセリアは勘違いしたのだろう。お茶会は嫌だった? と表情を曇らせてしまった。
慌ててそうではない! ただ少し考え事をしていただけで、決して嫌なわけではない! と首を勢い良く振りながら力強く言うと、セリアは柔らかく目を細めた。
「良かった。あとは日曜日にお天気が良くなるのを祈るばかりね」
「そ、そうですね……」
これであの屋敷に居座る立派な理由ができてしまった。しかも、自分から了承した流れになる最悪の形だ。と由衣はがっくり肩を落とすのだった。
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「そういえば……」
それからしばらく、会話という会話もなく、二人は街灯だけがぼんやり辺りを照らす道を終始無言で歩み続けた。
その気まずさに耐えかね、由衣はセリアの顔を伺うように、目線をチラチラ注ぎながら切り出す。
「セリアさんと、奏さんってどういったご関係なんですか?」
恋人同士? とは聞けず(そうであったら少なからずショックだ)、当たり障りのない表現で尋ねる。