Alice Doll


「神」

 迷う素振りは一切見せず、セリアはルージュの引かれた美しい唇を動かした。
 

「え?」

「今の奏様は"神"ね。そして私は、それに仕える……えっと、何て言うんだったかしら。牧師? 天使? 尼? ……ど忘れしちゃったわ」


 …――上。
 …──紙。
 …──髪。
 …──神。
 …──カミ。

 ……カミサマ?

 セリアさんの言葉をよく理解できないのは、私の頭が良くないから?

 あ、そうか何かの比喩かな?

 いや、そうに違いない。セリアさんの言い方があまりにもストレート過ぎて真に受けそうになったけど。

 だって、確かに奏さんは神々しかったし、神様ですって言われたら多分、信じちゃう。後光差してたよ、後光。
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