Alice Doll

 しかし、奏さんは来ない可能性も……。いやいや、だからってセリアさん来たらセリアさん来たで、隣を歩けない! 一歩歩く毎になんか、現実をむざむざ見せつけられて鬱になりそうかも。

 ああでも、服装は手持ちの中でも一番可愛いの着てかなきゃ。あれ、てか、そんな可愛いの持ってたっけ?


 え、ていうか、別にデートするわけてもなんでもないんだし、ここまでさなくてもいいのかも。
 いやいや、由衣さん由衣さん。あの人形館もとい、金持ちっぽい邸宅でティーをごちそうになるんだからね!

 あれ、ていうか、そもそもそれって、フォーマルな格好のがいいのかな?

 友達に聞いて……も知ってるわけないか。うーん。


 結局この朝、由衣は服装で悩みに悩み、髪型を失念してしまっていた。そのことに気付いたときにはもう、待ち合わせ時間ギリギリ。

 昼近くに起きてきた弟に指摘されて気付くのだが、その弟がそれを手伝う羽目になったのは、予想外だったと語っている。
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