妹系男子。
母の面影のない
知らないこの町に
母と暮らした当時の家は
未だに父の所有物
母の遺品も沢山残っている
だが未だに里帰りできないでいた
亡き母に依存してしまうのではないかと
恐怖してしまうのだ
この町にいても
たまに思い出の母を追いかけてしまう
俺はまだ良い
女子高生にしかも芸能人に
女の家族がいないのは辛いだろう
俺は鈴がたまに泣いているのを知っていた
それも俺に気付かれない様に
俺が寝たのを確認した深夜に
でも双子だ
それくらい解る
だから辛い
母以上の力にはなれないと
完全に見えているからだ
父だってそうだ
母が元気になると信じて
家に帰らず仕事をしていた
母の死に目にも会えず
最後に会ったのは
母が亡くなる二ヶ月以上前だった
―――
―――
でも俺達家族にもう母はいない