妹系男子。
スム「もうすぐ着きます」
進さんに言われて顔を上げた
進さんってこの辺りに住んでいるのかな
この道懐かしい
林さんを送った時に一度通ったっけ
リン「ここから俺の家まで来てたんすか」
スム「はい、まぁ隣町ですしね」
案外近いけど
ここに引っ越して来てまだ二年目だから基準がわからない
一度見た道を歩くのはこんなにも不自然
新鮮でも何でもないのに
何故か胸に違和感が芽生える
以前、隣にいたのは林さんでしたから
あの公園が見えた
――懐かしい
あの時の雲行きや雨音
跳ね返る水飛沫
二人の会話
二人の表情
あのはにかんだ笑顔とその訳
全部が全部、思い出
それらが詰まったこの公園
スム「あ、妹いました」
リン「彼女がですか」
ブランコに腰掛けた背中が見えた
「…あ、お兄ちゃん」
足音に気付いた彼女はこちらを見た