妹系男子。
影は俺の進む先にいる
俺の足の前に
俺は無心のままに
足が影を踏むのを見詰めた
だんだん激しくなる鼓動
それと反比例して
心は落ち着きを取り戻していく
階段を上りきって短い廊下を歩く
そしてようやく扉を視界に捕えた
リン「……林さん」
鉄の扉から漏れる風が冷たい
俺にはわかった
この扉の向こうには
林さんがいるのだ
鉄のノブに手をかける
~♪~♪~
リン「あ」
携帯が鳴った
急いで電源ボタンを押す
深呼吸した後に
何気なく解除したマナーモード
なんとタイミングの悪いこと
またマナーモードにし直す
俺はその音に急かされて扉を押した
―――
―――
―――
「……鈴木君??」
リン「……林さん」