妹系男子。



まず歪んだのは



――俺の視界



今まで心の奥にしまい込んでいた

あの感情



今、滝の様に一気に流れ出す



アキ「…鈴木君」


彼女の手は温かかった



リン「…ぅ…っ…」


漏れた嗚咽が情けない

林さんに見せるなんて
俺にしては珍しい



アキ「…私に話してくれるの??」


林さんの細くて白い指が俺の頬をなぞる



俺はうなずいて咳払いをした



リン「…父さんは出張しがちだった」



―――



―――



―――



母は俺と鈴に等しく愛情を注いでくれた



身体の弱い母が俺達双子を生む

どんなに大変だったろうか



俺も鈴も母を愛し、感謝していた



大好きだった



大好きだった




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