妹系男子。
ハハ「…あんなに小さかったのに」
母は空いた手を俺の頭に乗せた
ハハ「すぐに大きくなっちゃったね」
涙でにじんだ母の瞳も
だんだん元気がなくなる
ハハ「…父さんと鈴をよろしくね…」
リン「……勿論」
その時初めて
母さんは悔しそうな顔をした
ハハ「……もっと、生きたかったなぁ…」
乾いた虚しい声が白い部屋に反響した
―――
―――
―――
母さんは俺だけに看取られて
息を引き取った
家に連絡する時には鈴は帰宅していて
空っぽの俺は何も告げずに病院に呼んだ
母さんが死んだなんて知らないから
仕事が決まったという嬉しい報せと共に
鈴は笑顔でやって来た
母さんとそっくり
泣いている鈴に寄り添う時は
俺は泣かなかった
というより泣けなかった
俺しか鈴にはいない
………
………