キミの隣に僕がいる

「悟…ごめん。教えてもらえる日が来るまで自分からはもう聞かないって約束したのに…。」

もう、無理なんだ。

「雅、少しだけだから。俺から言えることは、少しだけ。他は…きっと近いうちにわかる。だから、俺は…。」

近いうちっていつ?

今日?明日?来週?1ヵ月後?

でも、悟が少しだけでも教えてくれるなら、

今度こそ本当に約束するよ。

もう、聞かない。

「わかった。約束するよ。もう、聞かないから。」

俺がそう言うと、悟は深く息を吸った。

「高瀬は、たしかに1人しかこの学年にはいねぇよ。

ただ、いないだけ…この高校に。

名前は、もう、知ってるのかもな…。

高瀬 聖、それが高瀬の名前だ。

俺はもう、吹っ切れてるから。

雅として、大切な友だちだと思ってるから。

美奈も、ちゃんと雅として見ている。

ただ、優貴は…もう少し。

もう少しだけ受け止めてくれ。

きっと、もうすぐ…だから。」

高校にいないってどういうことだよ。

受け止めるって、何をだよ。

聞きたいけど、約束したから聞かないんだ。
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