キミの隣に僕がいる

『優貴がそんなに悲しい顔してんのって両親が殺されたからなんでしょ?』

いきなり、そんなことを言われた。

名前で呼ばれたのがムカついたし、それ以前に両親のことを言ったことについてムカついたの。

『もしかして声も両親殺されたから出なくなったの?だから入学式の挨拶できなかったのか。』

それを言われた途端、今までにないくらいに怒りが込み上げてきたの。

そして、

『私のお母さん達が殺されたとかそう何回も言わないでよ!!それに気安く名前で呼ばないで!何にも知らないくせに…』って大声で怒鳴って聖に言ってやった。

聖のおかげで…まぁ、最悪な話で声が出るようになっちゃったんだけどね?
今は感謝してるの。

『そうよ、出てるよ。でもこんな時に出てもらいたくなかった!いい加減にしてよ。私には悲しみが心の中溢れてんだよ。お母さん達が殺された時だって流れ星が流れたよ。だからなんなの?あんたにその悲しみの何が分かるの?それに、あんたに名前を呼ばれる筋合いなんてないから。愛とかそういうのは他を当たってくれる?』

言いたいことだけ言って私は屋上か走って逃げたんだ。」


今は軽く微笑みながら話す優貴だけど、

その時はきっとありえないくらいの怒りの気持ちがあったんだと思った。





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