キミの隣に僕がいる

そう言って優貴はポケットの中から小さな箱を取り出す。

「今、言った短冊のストラップだよ。

私ね、知らなかったんだ。

この短冊のストラップの短冊の部分が開いて、

写真を入れられるなんてね。

聖は、私の写真をずっと入れててくれてた。

でも、それに気づいたのはもう聖がいなくなった時で…。

聖は、私を庇って交通事故で……


星になったんだ。」


ぎゅっとストラップを握る優貴。

小さくその拳が震えているのがわかる。

「たった1週間。

たった1週間だけ聖を恋人としてできたの。

もっと、早くに想いを伝えていればって、

何度も思うんだ…。」

月だけが唯一の明かりの静かな暗闇。

そっと風が頬を撫でた時、

優貴から一粒の涙が出た。
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