キミの隣に僕がいる

スッキリとしたスカッシュの匂いで

どこか甘く優しい匂いが体全身に伝わってくる。

「っ!!」

キミは俺を跳ね除けもせずに、

俺の背中に腕を回したんだ。

「聖、聖…」

何度も名前を呼ぶキミ。

「今、朝なのにカケラが届いたの?」

勝手に口が動いて、俺はそんな言葉を言っていた。

その言葉に反応して俺の胸にうずくまっていた顔が上を見上げる。

その顔はとても美しかった。

そう言うしかなかった。

可愛いんじゃない。

近くで見ると、可愛いを通り越している顔立ちだと思った。

「今…なん、て?」

ゆっくりとキミは俺に問いかける。

「だから、カケラが届いたの?って。」

そういうとキミはもっと涙を流したんだ。



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