キミの隣に僕がいる
『私と颯人はパリでいっぱい買い物するんだから!沖縄よりも楽しくすごしてやる!!雅のバー…』
ブチッツゥーツゥー
椿が言い終わる前に切ってやった。
だって、なんかムカつくんだもん。
弟相手に高級ステーキとかパリとかさ…。
レポートと大事な講義すっぽかすつもりかよ。
そこまで張り合うのか?
なんか、こんな姉を持ってしまったのが始めて情けないと思った。
俺は、優貴の部屋に戻っていく。
「雅ー、また電話?」
「あぁ。ちょっとな。」
「そっか。あっ、沖縄のことなんだけど、駅集合ね。6時に!」
「…6時?わかった。駅に行けばいいのね。」
「じゃ、早く勉強しよッ!」
待ってましたとばかりに声を弾ませて言う優貴。
俺も、参考書を取る。
「なぁ雅、ここの問題ってどうやるんだっけ?」
悟は、数学の問題集を俺のところに持ってくる。
「これ、2ヶ月前にやったじゃん。ここを移項してからこの公式使って、その後にこうすれば…ほら。」
「雅…、この解き方、どこで教わった?」
真顔で聞いてくる悟。
何急に言ってんの?
「教わったも何も、自分で考えた解き方だけど…。それがどうかした?」
「あっ、なんでもない。ただ、教科書とかには載ってない解き方だよなぁって思っただけ。雅、ありがとな。」
「お、おう…。」