プリンセスの条件

おまけに今のこの体勢は非常にマズイ。

だって翔太の息が胸にかかるだけで、朝から変な気分になってくる。


どうしよう!!

どういう顔して翔太に「おはよう」って言えばいいの!?


一人パニックに陥っていると、

「すっげー心臓速えー。止まるぞ、そんな速く動かしてたら」

クスクス笑いながら翔太があたしの胸から顔を上げた。


「お、起きてたの!?」

「ああ」

「い、いつから!?」

「んー……正しくは寝てない」

「え、なんで?」


もしかしてあたし、イビキがうるさかったのかな。

まさか、ないとは思うけど歯軋りとか!?


思わず口元を隠すと、それに気づいた翔太が笑った。


「バーカ。ただ目が覚めちまっただけ」

「なんだ、そっか」

「ああ。だから気にすんな」


クシャッとあたしの髪を撫でると、翔太はベッドから起き上がり床に散らばった服を身につけた。


広くて筋肉のついた背中を向けられるだけでドキドキしてしまう。

どうやらあたしはまだ動揺しているらしい。


おそらくそんなあたしの気持ちなんてお見通しの翔太は、Tシャツを頭から被りながら言った。


「心配すんな。オレらはこれからもただの幼なじみだから」


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