プリンセスの条件
さっきと立場が逆転。
だけど自然と引き寄せられるあたしの身体。
翔太にギュッと抱きしめられて、昨日の熱い感覚を思い出しそうになった。
「またドキドキいってるよ、マイの心臓」
「しょ、翔太こそ!!」
翔太もあたしに負けないくらい、心臓がものすごい速さで動いている。
翔太もあたしにドキドキしてくれているの?
あたしを女だと思ってくれているの?
そっと見上げると、目を閉じた翔太の長いまつげが目に入る。
そう言えばあたし、大人になってから翔太のこんな顔見たことない。
こんなにキレイなんだ……翔太の寝顔。
昨日はすごく色っぽかったのに……。
「あッ」
そう言えば。
大切なことを思い出した。
昨日の最後、翔太はあたしに何か言ったんだ。
「ねぇ、翔太」
「……ん?」
半分眠りかけていた翔太が目を擦る。
「昨日最後に何か言ってなかった?」
「え?」
「“───る、マイ”って聞こえた」
「あー……」
翔太が顔を右手で隠した。
何だったんだろう?
「聞きたい?」
「え?うん、気になる」
「……」
「なーに?早く言ってよ」
「あれは……さ……」