プリンセスの条件
ミサトの代わりに玄関に立っていたのは、再会の心構えなんてできてなかった翔太。
「え……ミサトは?」
「もう帰った」
「なんで……」
「オレがそうしてくれって頼んだ」
いつもより大人で、真剣な翔太の顔。
今のあたしの動揺を悟られたくなくて、思わず目を逸らしてしまった。
「上がるぞ」
「え!?あ……ッ」
靴を脱ぎ、寝室へ向かう翔太を追いかけ、
「ダメ!!」
背中でドアを塞いだ。
寝室 = ベッド = 土曜日の出来事
そんな方程式が頭に浮かぶ。
「マイ、警戒してんの?オレのこと」
「そ、そうじゃなくて!」
「じゃあなんだよ?」
まただ……。
胸のドキドキが、あたしの耳まで聞こえてくる。
翔太がいつもと違って、男に見える。