プリンセスの条件

ミサトの代わりに玄関に立っていたのは、再会の心構えなんてできてなかった翔太。


「え……ミサトは?」

「もう帰った」

「なんで……」

「オレがそうしてくれって頼んだ」


いつもより大人で、真剣な翔太の顔。


今のあたしの動揺を悟られたくなくて、思わず目を逸らしてしまった。


「上がるぞ」

「え!?あ……ッ」


靴を脱ぎ、寝室へ向かう翔太を追いかけ、

「ダメ!!」

背中でドアを塞いだ。


寝室 = ベッド = 土曜日の出来事

そんな方程式が頭に浮かぶ。


「マイ、警戒してんの?オレのこと」

「そ、そうじゃなくて!」

「じゃあなんだよ?」


まただ……。

胸のドキドキが、あたしの耳まで聞こえてくる。


翔太がいつもと違って、男に見える。


< 21 / 95 >

この作品をシェア

pagetop