プリンセスの条件
「えッ!?な、そ、そんなわけないじゃん!」
思いっきり声が裏返って、“そんなわけある”と白状してしまったようなものだ。
翔太はというと、ポンとあたしの頭に手を置いて、
「もう何もしないから」
と言って笑った。
「心配すんな。マイが嫌がることはしない」
「別に……嫌がってなんか……」
「え?」
どうしてかって聞かれたら、きっとうまく答えられない。
だけど嫌じゃなかった。
……嫌じゃないの。
翔太のことは。
そっと視線を翔太にはわせると、どこか切ない表情であたしを見つめる翔太が視界に飛び込んできた。
「しょ……うた?」
「バカ。……嫌じゃないとか言うな」
「だって」
「他の男なら本気にするとこだ。今のはキスしてくれって誘ってんのと同じだぞ?」
そう言って翔太は、あたしの身体をふわりと抱き上げた。