プリンセスの条件
「別に今すぐ結婚しようって言ってるわけじゃないよ?マイはまだ学生だしさ。卒業したらってことでもダメなわけ?」
今あたしはハタチの大学3年生。
そしてタカヒロは大手商社に勤めるエリートサラリーマン。
歳は29。
あたしの歴代彼氏は、ずいぶん年の離れた人ばかりなんだ。
だからまだ学生の身でありながら、プロポーズされたことは既に4回。
「……ごめん。たぶん、卒業しても今の気持ちは変わらないと思う」
「そうか……」
それっきりタカヒロは黙り込んでしまった。
腕は強く握ったまま。
「ごめんね。タカヒロのこと嫌いなわけじゃないよ。だけど、タカヒロが結婚を望んでいるのなら、これ以上付き合えない」
未来に希望が持てないあたしよりも、一緒に未来を描ける女性を見つけて幸せになってほしい。
ちゃんと好きになった人だから。
「オレは……マイがいい」
キュッと掴まれた手の力が強まった。
「ごめん……」
だけどこれが今あたしにできる精一杯。