プリンセスの条件
「あのさ、彼女って……那波のこと言ってる?」
「呼び捨てしないで!!」
「……え」
「やだ……。翔太の口から他の女の子の名前聞くの……」
翔太があたしのおでこに手を乗せて言った。
「お前、熱でもあるんじゃないか?」
「はッ!?」
「いや、今日のマイ……素直すぎて気味悪い」
マジマジとあたしを見た後、真剣な顔をしてあたしの体調を気にする翔太。
翔太にとって、いかにいつものあたしが可愛げなかったのか……。
どうせ想いを伝えてしまったのなら、これからはもっと素直に自分の感情を表現しようと思った。
……翔太の前で。
「翔太」
「ん?何?」
「あたし、頑張る」
「……は?」
「翔太に、幼なじみじゃなく女として見てもらいたいから」
小さくため息をはいて、翔太はあたしに何か言いかけた。
「オレは……け……ら……き……」
途切れ途切れにしか聞き取れなくなって……頭の中が真っ白になった。