プリンセスの条件


「何て言ったの?……さっき」


ブスッとした顔をしてあたしのおでこを指ではじく翔太。


「オレはもう学習した」

「……何を?」

「熱があるお前に、何を言ってもムダってこと」


どうやらあたしはまた風邪をぶり返してしまったらしく、さっきの冷たい感覚は、翔太が用意してくれた氷枕によるものだった。


ぶっきらぼうにあたしのおでこに熱さまシートを貼って、翔太がまたぺチッと叩く。


「なに、そんな怒ってんの」

「怒ってない」

「……怒ってんじゃん」


< 59 / 95 >

この作品をシェア

pagetop