プリンセスの条件
最近翔太には迷惑しかかけていないし、看病だって、ついこの前してもらったばかりだし……。
『いい加減、手間かけんなよ』
そういう気持ちの表れかもしれない。
翔太に幼なじみの縁まで切られたら……と思うと、ぶわっと涙が溢れ出た。
「なんで泣くわけ」
「翔太が怒ってるからじゃんッ」
「だから、オレはべつに……」
「好きな人にワケも分からずそんな顔されたら、誰だって不安になるでしょ!?」
この時のあたしはきっと、熱のせいで何を口走ってるのか分からなくなっていたんだと思う。
「マイ、お前……」
この翔太の驚いた表情の理由も、翌朝にはキレイさっぱりと忘れていた。
『熱があるお前に、何言ってもムダ』
皮肉にも、それを証明する結果になってしまったのだ。
あたしって……
どうして翔太のことになると、こんなに間が悪くなっちゃうんだろう。