プリンセスの条件
翌朝目が覚めた時、翔太が床に座ったままベッドに頭を乗せて眠っていた。
しっかりとあたしの左手を握りしめて。
不覚にも、朝からドキドキさせられてしまった。
物音にも気づかずグッスリ眠っているところを見ると、寝付いたのは朝方……?
なんて思うと、このまま静かに寝かせてあげたい気持ちになって、布団を空いた右手で手繰り寄せた。
だけど、布団を翔太の身体にかけた時、
「んッ」
翔太がゆっくりと目を開けた。
「……あッ」
「ん……。おはよ」
目を擦りながら、翔太が少しかすれた声をして起き上がる。
胸元のシャツのボタンが大きく開いて、たくましい胸板が見えた時、妙にそれが色っぽく感じて恥ずかしくなって目を逸らした。
「マイ、身体は?」
「うん。……もう大丈夫そう」
顔を背けたままそう答えると、少しの沈黙の後、翔太があたしの頭を掴んで無理矢理顔を正面に向かせた。
「なんでこっち見ないんだ」