プリンセスの条件
*お姫様の歴史 side 翔太
【翔太side】
マイが腕の中で眠っている。
無理矢理告白させた後、そのまま……。
そっとマイの前髪をかきあげると、ピクリと瞼が動いた。
起こしてしまったかな……。
「マイ?」
名前を呼んでみたけれど、オレに擦り寄ってスヤスヤと眠り続けるマイ。
そんな彼女が愛おしくて、そっとおでこにキスをして、もう一度強く腕に抱いた。
マイと出会って21年。
マイに恋をして21年。
マイの恋を見守ってきて21年。
そろそろ我慢も限界だった。
おそらく、オレだけだと思う。
マイの歴史を全て事細かに記憶している人間は。
マイが今までどんな男と恋をして、どんな終え方をしてきたかも。
歴代の彼氏の名前だって全部言える。
たった2日で終わってしまった恋もあった。
マイの記憶の中にその男はとっくにいないかもしれない。
だけど、オレだけはハッキリと覚えてる。
オレにとってずっと、たった一人の女の子。
マイのことなら何でも知ってる。
そう思っていたのに、オレの知らない“女”の顔を他の男に見せているのかと思うと、気が狂いそうになった。