プリンセスの条件
マイが大人の女になったのは、高2の夏休み。
相手は3つ年上の大学生。
出会いは合コン。
名前は、松本潤。
ジャ○ーズかよ!!と、思わず突っ込みを入れたジャ○ーズばりのイケメン。
この頃から思い始めていたのは、マイはとんでもなく面食いなんじゃないかということ。
オレなんて、付け入る隙もないんじゃないかと思った。
夏休みも半ばに差し掛かったある日。
少し頬を高潮させ、全身から“女”を出しまくったマイが、突然オレの部屋に上がりこんできた。
『翔太……』
『なに』
『翔太って……エッチ、したことある?』
口に含んだコーラを思いっきりふきだした。
『なッ、なんでそんなこと……』
『あたしね、昨日……しちゃった』
本当に世界の終わりが来たんだと思った。
『お前、付き合ってまだ3日だろ?』
『そうだけど。……好き……なんだもん』
マイが本当にオレの手の届かない遠い遠いところへ行ってしまった気がした。
悔しかった。
『翔太、大好き!』
オレがもらえる“好き”と、松本潤がもらえる“好き”は、中身がぜんぜん違う。
どうすればオレも同じ“好き”がもらえるのか……。
オレなりにかなり意思表示はしていたつもりだったのに、マイは気づかない。
いや、気づかないフリをしているのかもしれない。
情けないけれど、その夜は男泣きをして眠れなかった。