プリンセスの条件
大学だって、マイが受験したからオレも同じトコを選んだ。
今までのオレは、とにかくマイが全ての中心。
……情けないくらいに。
ヤケになって他の女の子と付き合ってみても、けっきょくいつも頭の中にはマイ。
どの子とも長くは続かなかった。
マイ以上に心が求める女の子には出逢えない……。
きっとオレがこんなにもマイを好きなこと、本人は微塵も気づいていないだろう。
無邪気な顔で眠るマイの頬を片手で軽く引っ張ると、「んんー」と少し唸ったけれど、すぐにまた眠りの世界に戻った。
『翔太が好き』
さっきそう言われた瞬間、止まっていたオレの時間が再び動き始めた。
だけど……。
「マイ、お前はいつもオレの本音は聞かないんだな」
今まで何度か秘めてた本音をぶつけたことがあったのに。
マイに向かって言ったのに。
肝心なオレの気持ちはいつもマイの耳に届かないまま……。
2週間後に迫ったマイの誕生日。
その日が最後の勝負になるだろう。
マイを、今度こそオレだけのものにする。
そのためには、やらなきゃいけないことがたくさんあるんだ……。
「マイ」
そっと寝顔にキスをして、もう一度抱きしめながら目を閉じた。
【翔太side End】