プリンセスの条件
翔太がいつもと同じ友達を連れて、中庭を歩いている。
そこまではまったく問題ない。
ただ気になるのは、その中にいる1人の女の子。
「ねぇ、なんで宮本那波があの中にいるわけ?」
その答えも、あたしの方が知りたい……。
どうしてまたあの子が翔太の側にいるんだろう。
やっぱり彼女は、翔太の本命?
ここが大学だからなのか、彼女はあの時みたいに腕なんて組んでいない。
だけど、しっかり翔太の左隣をキープして歩いてる。
ずっと2人を目で追っていると、宮本那波がこっちに気付いた。
「あ……」
ほんの一瞬目を細めた彼女は、すぐにあたしから視線を逸らして翔太に笑いかける。
今あたし、睨まれた……?
「うわー。何あれ。お嬢様のくせに、けっこう気性荒い感じ?今のさ、ぜったいマイに挑戦状突きつけたよね」
「そう……なのかな」
「ぜったいそうでしょ。あれは手ごわいよ、マイ。男なんてコロッと簡単にいっちゃうよ。ほら、早くマイも行ってきなって!」
「えぇ!?行くってどこに!?」
「翔太くんのとこに決まってんじゃない!早くあの女から取り返してきなよ!!『翔太はあたしの男なんだけど』って、そう言ってやりな!!ほら、もう翔太くん行っちゃうよ!!」
「そ、そんなの無理ッ」
“無理”を連発するあたしの背中を、ミサトが翔太目掛けてドーンと思いっきり押した。
「きゃあああああッ!!」