プリンセスの条件
あたしの悲鳴が辺りに響き渡って、一気に注目が集まる。
それだけでも恥ずかしくて泣きそうなのに、このままじゃあたしは思いっきり翔太たちの輪に突入してしまう。
そして次の瞬間、あたしは勢いよく翔太の胸に飛び込んで、そのまま一緒に芝生に倒れこんだ。
「翔太!!大丈夫か!?」
「翔太くん!!」
翔太の友達と宮本那波が、あたしたちの周りを取り囲む。
あたしは痛みも衝撃もほとんどなかったけれど、恥ずかしさに負けて顔を上げられず、翔太の胸にしがみついた。
「痛ってぇー……」
だけど翔太のかすれた声が耳に届いて、勢いよく身体を起こす。
「しょ、翔太!!ごめんッ!!」
「んー。……マイ、オレを殺す気か」
「え!?ち、違うよ。ホントごめん……」
翔太から離れようとした時、そのまま背中に手を回されて抱きしめられた。
「え……」
みんな見てるのに……。
それなのに翔太は、周りから注目を浴びてることなんか気にも留めない感じで、あたしの頭を撫でた。
「ケガない?」
「う、うん」
「そっか。なら良かった」
「だけど、翔太のほうが……」
「マイが平気なら平気」
そう優しく笑う翔太へ、あたしの中の“好き”があふれ出した。