プリンセスの条件

自分がこんな公衆の面前で盛大に告白する日が来るなんて思わなかった。


こんな恥ずかしすぎること、まさか自分がしてしまうなんて……。


だけど、初めてあたしの心が叫んだんだ。


「翔太が……好き」


好き。翔太。

毎日伝えたい。翔太に、あたしのたくさんの“好き”を。


翔太はとても驚いていたけれど、すぐにフッと笑顔になって、あたしの頬に手を伸ばした。


「なんで泣くの」

「……好きだから」

「泣くほどオレが好きなわけ?」

「……うん」

「そっか」


『翔太は?』って聞きたかったのに、ギュウウッと抱きしめられて、何も言えなくなった。


だけどこれじゃダメなんだ。


『翔太はあたしの男なんだけど』

さっきのミサトの言葉が頭に浮かぶ。


そのまま言葉にするのは気が引けるけれど、注目を浴びている今だからこそ、あたしの気持ちをみんなに知ってもらいたい。


そう意を決して身体を起こそうとした時、あたしより先に宮本那波が口を開いた。


「ねぇ、いつまでそうしてるつもり?翔太くん、下敷きになって可哀想だと思わないの?」


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