プリンセスの条件
「マイ。お前、オレのこと“おもちゃ”と勘違いしてない?」
クックッと笑いながらも、翔太はあたしの背中に腕を回して自分の胸に引き寄せる。
そしてポンポンと頭を撫でられた。
翔太にこうされると、小さい頃からいつも落ち着くことができた。
翔太の手は魔法の手。
よくそんなことを思っていた気がする。
「翔太くん」
「なに?」
「翔太くんにとってその子って、なんなの?」
彼女が核心に触れる。
翔太にとってあたしは……。
突如不安に襲われて、翔太のシャツを両手で掴んだ。
「あたし、翔太くんのこと……」
続きの言葉を聞く前に、翔太がそれを遮った。
「マイが『誰にもあげない』って言ってるんなら、そういうことなんじゃないの?」
「あたし、翔太くんもあたしのこと好きなのかと思ってた」
「なんでそう思うの?」
「だって、家に泊めてくれたし」
あの日、食堂で聞いたことは本当だったんだ……。
やっぱり2人は何かあるんだ……。
そう思うと、涙がこぼれた。