プリンセスの条件
「マイ、顔見せて」
「やだ」
「なんで?」
「だって今、……ボロボロだから」
翔太の身体が震える。
笑いを一生懸命堪えているのが分かる。
「もう!なんで笑うの!?」
「だって、いまさら」
「いまさらって……」
「オレ、今よりもっと酷い顔、何回も見たことあるけど」
思い当たることがたくさんあるだけに、あたしは俯くことしかできない。
そうしているうちに、グイッと顔を持ち上げられて、真剣な顔の翔太と目があう。
その目に心が吸い込まれるように、逸らせなくなった。
「マイ。今日のこと、すぐ噂になるな」
「いい」
「もう、男に相手にされなくなるかもよ?」
「翔太が相手してくれれば、他の男なんていらない」
そう言うと、すぐに翔太からキスの嵐。
こうしてたくさん人が見てる前でキスをしたのも、初めてだった。
だけど今は、心が翔太を求めるから。
翔太のキスに必死で応えた。
長い長いキスの後、翔太は今までで一番優しく笑って最高の言葉をくれた。