プリンセスの条件
「分かってるよー。翔太になら、あたしの大人になったカ・ラ・ダ特別に見せてあげよっかなぁ~」
ハイテンションのまま抱きつくと、固まる翔太。
「翔太?」
耳元で名前を呼んだ途端、勢いよく身体を引き離された。
いつになく真剣な顔で、あたしを真っ直ぐ見つめてくる。
「お前、オレのことからかってんの?」
「本気だよ?」
「オレが男だって、お前分かってるか?」
「翔太が女なわけないじゃーん!!」
「そうじゃなくて……」
身体がフワフワして、本当に気持ちいい。
無意識にもう一度翔太に抱きついた。
小さい頃からいつもすぐ側にある、翔太の香り。
まだ小学校低学年の頃、お母さんに怒られて家を飛び出した時、いつも隣の翔太の家に逃げ込んだ。
『マイ、どうしたの?』
ものすごく心配そうな顔をしてあたしを覗き込む小さな翔太。
お母さんとケンカしたって話すといつも
『一緒に謝ってあげる』
と言って、あたしの手を引いて一緒に謝ってくれた。
昔からいつも優しくて。
今もあの温もりは変わらない。