ポケメン。
「あぢっ」

「ちょ、何やってんの? 愛?」

タコ焼きのタコが上顎に張り付いて思わず吐き出した。

かなり熱い。

皮がむけてペラペラしてる。

「ひゃけどしたわぁ」

「馬鹿じゃないの」

唇を押さえて涙目のあたしを美保子は冷たく見下ろしてる。

「大丈夫ー? 愛ぃー」
心配しながらハンカチを差し出してくれる香奈は優しい。

「ううっー」

ソースが浴衣についちゃってブルーな気分。

香奈が一生懸命拭いてくれてるけどシミは避けられないなあ。

あたし達は同じクラスの女子高生。

いつも三人で遊んでる。
一番かわいいのが香奈。優しいし、男子にも人気抜群。


あたしだってできることなら香奈を嫁にしたい。

美保子は頭が良くて気が強いリーダー格。

美人なんだけど、性格の問題なのか、彼氏無し。

あたしは……まあ、なんの取り柄も無いけど仲良くしてる。

長所は美保子曰く「好き嫌い無くよく食べること」だそうで……。


それって小学生の健康優良児みたいじゃん、微妙。

香奈はあたしをかわいいって言うんだけど。

香奈に言われてかなり微妙。

あ! それってペットなんかに近い「かわいい」じゃない?


ま、いーけどね。


あたし達は縁日で遊びながら境内の奥へ進む。

「あれ? あんなとこにお店あるよ?」

香奈が不思議そうに指をさした。

神社の裏に行く道に、麦藁帽子のおじさんが、ビールケースを逆さにした台の上に何か広げてる。


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