SHINING
楽屋へ戻る途中
皇紀は自販機に小銭を入れると

「恵理奈、何にする?」

当然の様に振り返り尋ねた。

「えっと…」

自販機を前に考え込む恵理奈に

「迷ってんならこれにしとけ」

ミネラルウォーターを二度押して
一つを差し出した。

「ありがとう」

「良いなそれ!」

「えっ?」

「素直に『ありがとう』が言えるそれは恵理奈の良いとこだよ」

皇紀はくしゃくしゃと
恵理奈の頭を撫でて笑った。

自分の分を開けると
未開封の恵理奈の分を
手中から取り上げて
代わりに差し入れた。

「…ありがとう」

キャップを外し
皇紀に習って一口飲み込む。

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