SHINING
運転手のニチカと
助手席に座る慶吾を
後部座席から皇紀が
ずっと見ている。

その隣で恵理奈は
皇紀を窺っていた。

「…う〜ん」

腕を組み合わせ
時々唸る皇紀に。

「何?皇紀君?車酔いした?」

慶吾も気付き振り返る。

「大丈夫ですか?停めますか?」

ミラー越しに
ニチカも声を掛けた。

「…いいから黙って前見てろよ」

渋々と
言われた通り前に向き直す慶吾。

ニチカはそれでも気になるのか
ミラーの位置を僅かに調節した。

「あの…皇紀さん?」

恵理奈が恐々掛けた声を、

「ニチカお前運動神経良い方?」

皇紀が掻き消した。

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