SHINING
姿見の前で顔を隠す様に額に指先を当てたまま鏡を見据える。

時計の秒針がやけに耳に付いた。

今度の計画を聞いたときから
妙な胸騒ぎが鎮まらなかった。

穏和な綴喜は戦闘には向かない。

そうなれば確実に足を引っ張る。

‘S’は仲間を見捨てない…。

それが綴喜は怖かった。

勢い任せに開けられたドアの音に綴喜の体は反射的に飛び上がり、その先に目を向けた。

「オーナーそろそろ時間です」

それを悟られない様に
綴喜は額から指先を離す。

「ああ…わかった」

鏡に視線を戻しその場でターンを決め衿元を正す。

髪に手を伸ばし前髪を整えた。

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