SHINING
次に恵理奈が目覚めたのは
いつものベッドの中だった。

「何だ…夢か…」

《恵理奈の事は俺が全力で守る》

「夢でも幸せだったな…」

唇に指を這わせ

「あれも夢なら良いのに…」

慶吾の感触を思い出す。

鏡に映り込む首筋に
赤く残った跡。

《初だけじゃ足りない…》

「どうして?」

《これも…他の奴に頼むから》

「私じゃダメなの?」

何度泣いても

慶吾の声が
慶吾の唇が

恵理奈から消えない。

「…慶吾君」

部屋のドアをノックする音と共に

「あっ…えっと…
着替え終わった?」

躊躇いがちな声が掛かる。


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