「湯をかけて三千里」
全然どうでもええっちゅう顔する彼女は鼻で笑うて、ベンチから立ち上がって、今度は中途半端な声の大きさで、おまえに言う。もう事故はええわ、それより、なーその歳になってんやからおまえ、「時期尚早」の意味もう解っとうやろー?六年の間に言葉憶えたやろ、「時期尚早」。言われたおまえ、なんの事かよう解れへん。また電車が目の前に来て、ドアが空く、周りの客が中へなだれ込む、彼女もじゃなーとか言いながら中に入る、おまえ思わず「どこ行くねや」彼女に言う。ドアが閉まる直前、彼女が中から大声で答える、あほか、家帰るんや。ぐるっと回って乗った駅に戻るんや、その駅降りたら今の家あんねん。今度は新幹線乗るんちゃうぞ!あー、時期はもう来たかもな、とかなんとか。ドアが閉まる、完全に乗り損ねたおまえと他三人。鰤が言う「あいつ、乗った駅に戻る言うて、じゃ何のためにわざわざ電車乗ったんや、アホやろ」ドリがおまえに訊く「時期って何?」おまえ「さあ?」

<続く>
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