まいひーろー
「てか太陽ーなんで王子が2人もいんだ?」
「あ、あたしも思ったー!!」
「あーなんか、脚本がどうとか……江川、説明してくれない?」
太陽くんの言葉に苦笑いを漏らしてたったのは、江川香奈…さん、で。
少し小さい背に鎖骨までのこげ茶の髪。
それに赤ぶちの眼鏡。
可愛らしい子だけど、なんだかちぐはぐな印象を受ける。
頭がいいのか悪いのか、というか……たぶん、メガネのせいだろうと思うけど。
「えっと、ウチの中で脚本をアレンジしてみたんだけど。
王子二人が白雪姫をとりあう…っていうふうにしたら、話題性あるし、何よりその王子が太陽と如月君だと女子がすごく集まりそうじゃない?」
「あぁーーー!!」
「江川ナイスっ」
「香奈ってば抜け目ないねー!」
「でしょ?
だから、一応その方向でいま書いてるんだけど……。
役も私の思っていた通りピッタリじゃない?」
「まぁなー。
つか、聖寝てるから王子役しかねぇし。」
「そうそう。
ってことで、私たちのクラスの劇は『白雪と二人の王子様』……ってことで、いいよね?」
………1-Bの教室からは大きな声でイェーイ!やらおぉおお!なんて声が上がって。
隣のクラスから苦情が入ってもみんなの覇気は途絶えることはなかった。